西部メディカルセンターDIニュース2024.3

西部メディカルセンター DIニュース
医療品情報管理室作成

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DIニュース

医療品情報管理室作成 NO.65
2024年5月28日

1-1.新規院内採用医薬品

医薬品名一般名薬効など開始日
レキソタン錠2mgブロマゼパム精神神経用剤5月7日
イムラン錠50mgアザチオプリン免疫抑制剤5月8日
ロイコボリン錠5mgホリナート抗葉酸代謝拮抗剤5月23日

1-2.新規院外採用医薬品

医薬品名一般名薬効など開始日
テプミトコ錠250mgテポチング抗悪性腫瘍剤5月1日

2.院内採用薬変更

新規採用旧製品変更日
フルスルチアミン静注50mg「トーワ」フルスルチアミン静注液50mg「日医工」5月14日
フルバスタチン錠20mg「サワイ」フルバスタチン錠20mg「三和」5月28日

3.院内採用中止医薬品

医薬品名理由
トリンテリックス錠20mg期限切れ

4.医薬品の出荷調整について

医薬品の出荷調整が多品目化及び長期化しています。2020年以降に複数のメーカーで品質不正や法令違反が相次ぎ、出荷停止になったことが発端となっています。

日本製薬団体連合会の調査によると、4月末時点で処方箋医薬品の23・0%(3906品目)が限定出荷や供給停止となっています。そのうち、後発薬は2589品目と約7割を占めています。

 当院でも入荷状況は厳しく、発注して初めて当該医薬品が出荷調整となっていることが判明するのが実情です。特に生食注シリンジ、白糖・ポビドンヨード配合軟膏の入荷については現時点で全く見通しが立っていない状況です。

 他の製剤についても、在庫確保のため採用メーカーの変更や、納入卸業者の変更などで対応しています。入荷に困難をきたす医薬品については、今後も処方医に都度報告・相談しながの運用となります。

 ご理解とご協力をお願いします。

5.医薬品安全対策情報No326(Drug Safety Update)

医療用医薬品使用上の注意改訂のご案内

詳細は下記のサイトを参照してください。
https://dsu-system.jp/dsu/web/viewer.html?file=/dsu/326/326.pdf

6.医療用麻薬の取り扱いの注意、トラブル発生時の対処について

医療用麻薬とは

 医療用麻薬は、オピオイド鎮痛薬(以下、オピオイド)とも呼ばれ、脳や脊髄に高密度に分布しているオピオイド受容体に結合することで、がんによる痛みや呼吸困難感を緩和する薬剤です。

医療用麻薬の取り扱いの注意点

 オピオイドは「麻薬及び向精神薬取締法」により取り扱いが厳しく定められています。自己管理が可能な状態の患者さんには、自分でオピオイドを管理してもらうことが可能ですが、他者の目に触れないよう自宅でも引き出しなどに保管すること、紛失や盗難に十分に注意するよう指導します。また、残数確認をすること、他者に絶対に譲渡しないこと、中止になった場合はできる限り処方を交付された病院や薬局に持参することも伝える必要があります。

 病状などにより自己管理が難しい場合、入院中は病棟管理とします。

 当院では、内用・外用オピオイドは麻薬処方箋と引き換えに薬剤科から受け取ります。薬剤科からオピオイドを受け取る際と返納する際は、必ず麻薬施用票に記載し、使用するたびに使用量と残量、確実に患者さんに投与したことを確認します。

 注射オピオイドは麻薬処方箋と一緒に注射剤が払い出されます。受け取る際と返納する際は必ず麻薬処方箋に記名又は押印し、投与したときは投与した時間、投与量、医師または看護師名を記入して下さい。

 薬剤の変更や中止があった場合は、病棟で廃棄せず、必ず薬剤科に返納して下さい。

 実際に、患者さんに薬剤を使用する際も注意が必要です。フェンタニル3日用テープなどの貼付剤は、薬剤に触れないように手袋を装着して取り扱い、除去する際も同様に薬剤に触れないように二つ折りにして下さい。廃棄は薬剤科にて行います。

オピオイド使用時の記録の書き方

 オピオイドの受け取りや返納、使用した際は、院内で決められた記録場所に、薬品名と使用量、残量、返納する場合は返納数(量)などを記載します。

 当院では、薬剤科から内用・外用オピオイドを受け取った際、麻薬施用票に、①医師名、②患者ID、③患者氏名、④薬品名、⑤用法用量、⑥開始日が記載通りであることを確認し、確認者名を記載又は押印します。

 返還する際は「調剤済み麻薬の返還伝票」に、①返納日、②患者名、③麻薬名、④返還数(量)、⑤院内調剤薬or持参薬、③返還者氏名を記載します。

 受け取り、返還のいずれも看護師と薬剤師によるダブルチェックを行って下さい。

 オピオイドを使用した際は、麻薬施用票(患者が自己管理している場合も同様)に、①使用日時②施用量③残数(量)④確認看護師氏名/実施看護師氏名を記載して下さい。

オピオイド使用時のアセスメントのポイント

 オピオイドは患者さんの苦痛を緩和するために有用な薬剤ですが、患者さんによっては、「寿命を縮める」、「最後の薬」など抵抗感を持っていることも少なくありません。

 特にオピオイドを開始した際は、眠気や悪心、便秘などの副作用が起こるため、使用することに不安が高まります。医師、薬剤師、看護師が連携しながら薬剤の特徴を説明し、正しい知識を伝えるほか、患者さんと一緒にレスキュー薬を使用するタイミングを考えて効果を評価するなど、丁寧な支援を心がけて下さい。

 オピオイド開始前に、痛みの評価スケールを用いて、患者さんとともに痛みの包括的な評価と実現可能な目標(痛みに妨げられず眠れるなど)を設定し、定期的に薬物療法の評価を行うことも疼痛緩和を促進するうえで有効です。

評価スケール:VAS(Visual Analog Scale)

       NRS(Numerical Rating Scale)

       VRS(Verbal Rating Scale)

       FRS(Face Rating Scale)

 また、なるべく苦痛を感じずに過ごせるような日常生活の援助や、精神的支援なども薬物療法とあわせて行いましょう。

トラブル発生時の対処の仕方

 オピオイドの破損、紛失、盗難などが生じた際は、都道府県知事への「麻薬事故届」が必要となり、盗難の場合には警察への通報も必要です。病棟、手術室などで破損や盗難があった場合には、ただちに病棟管理者に連絡のうえ、麻薬管理者(薬剤科長)または病棟薬剤師に報告して下さい。